チェーンメール
チェーンメールは、出回り出した当初は不幸の手紙と同じような
些細なイタズラ心があるようなものばかりでした。
しかし、段々と信憑性を増していき、次第に都市伝説として
信じられるようになったものも少なくありません。
その現点ともいえるのが山口県を中心に各地に広まった
『当たり屋FAX』です。
『当たり屋FAX』はメールが発達する以前、
ファックスで主に広まった都市伝説で、そのファックスの文面には、
大体このようことが書かれていました。
《当たり屋グループが来ております。注意してください。》
1)下記のナンバーの車と事故を起こした場合には、
その場で示談などせずに直ちに警察に連絡すること。
2)警察が到着する前に勤め先(会社)名や自分の住所・氏名・電話番号など
絶対に言わないこと。
3)このコピーを車に必ず備えておくこと。
4)友人、知人に知らせてあげること。
<注意ナンバー>
山口 xx-xxxx
山口 xx-xxxx
山口 xx-xxxx
etc…
このナンバーが、前を走行している時は、
急に止まられても衝突しない車間距離を保って運転しましょう。
また、後ろの車が異常に接近してきたときには十分注意してください。
サイドブレーキで止まるのでストップランプがつきません。
このような・・・
このようなFAXが、会社や一般家庭に無差別に送られたのです。
その当たり屋の手口は、2台1組で行動していおり、
2台の車で狙った車を挟むように走り1台目が急ブレーキをかける。
そして、狙われた車がブレーキをかけながらも前の車に衝突、
さらに2台目の車が後ろから追突してきて
結果2台分の修理代を脅し取られるというものでした。
当時、このファックスを発端に、実際に何十万円も取られた人がいるという
噂が広まり、
山口県では当時、車の交通量が激減したといいます。
また、タクシー会社や自動車ディーラー、運送業者などの車関係の会社を
経由して噂は全国に広がり、
日本中のドライバーを震えあがらせました。
ただ実際に警察が調べたところ、リストにある山口ナンバーの車には
実在していないものが多く、実在する車についても詳細な調査の結果
当て逃げ事故とは無関係であったようです。
また、2001年9月11日におきたアメリカ同時多発テロ事件の直後に
良く出回ったチェーンメールに、
有名な『アラブ人の恩返し』という都市伝説があります。
その内容は、友人が街を歩いていると、
地図を見ながらしきりに首をかしげているアラブ系の外国人男性がいて、
彼に詳しく道順を説明してあげたところ、
「あなたはとても親切な人ですね。お礼に良いことを教えてあげましょう。
これから1週間の間は決して地下鉄に乗ってはいけません。いいですね。」
もちろん、このアラブ人はテロリストの一味で、
地下鉄でテロをやる気だという話です。
このメールを受け取り本気で信じ、メモリーに入っている友人全員に
メールしたという人は当時かなりいたようです。
この話は世界的にも有名な都市伝説で、
世界中で同じような噂話がされていたといいます。
最後に一つ、有名なチェーンメールの話をいたしましょう……
数年前にベストセラーになった『世界がもし100人の村だったら』という本も、
元はチェーンメールとして広まった話です。
この「100人の村」の話は、1990年代後半からアメリカを中心として
海外でチェーンメールとして広まり、
その間に文章に加筆修正されました。
このメールが日本に上陸したのは2001年春頃のことで、
1997年までワシントンDCの世界銀行本部に勤めていた方が、
かつての同僚からこのメールを受け取り、
内容に感動して日本語訳したものを友人たちに転送したのが
始まりといわれています。
その後、このメールは内容に感動した人々の手によって
「ちょっといい話」として転送を繰り返され、
ねずみ算式に増殖していきました。
そして、やがて話題の本として出版され、ご存じのように
一大ブームとなったのです。
このようにメールはちょっとした切っ掛けで、
その文面が簡単に世界中に広がり、
そして人を慌てさせたり、はたまた考えさせたりします。
また、もしかしたらあなたが受け取ったチェーンメールに
書かれていたことは本当のことかもしれません。
もし最近チェーンメールを受け取った事がある人は
その内容を一応チェックしておいて下さい。
事実かどうかは、実際にそのときがきてみないと分からないのですから……。
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