手乗り象は未来のために作られた?
手乗りサイズの象がいると話題になったことがありましたね。
それがきっかけとなり、手のり鹿、手乗り豚など小型サイズの
動物が次々と話題となりました。
当初これらはまるでUMAのように取り上げられていましたが、
実在する動物です。
手乗り鹿は『ベトナムジャワメジカ』という鹿の仲間で、
成長しても40cm程度という非常に小柄な体格のため、
この呼び名がつきました。
手乗り豚は『スキニーギニアピッグ』というげっ歯類、
つまりネズミの仲間です。
豚ではありませんが、外見が非常に豚に似ているので、
こう呼ばれるようになったのです。
しかし、手乗り象は実際には存在しません。
それほど小型の象はいませんし、
(生まれたばかりの子象でも1mほどあります)
また、目撃したという証言もありません。
コマーシャルの影響もあって、噂が一人歩きしてしまったようです。
でも手乗り象は、これから誕生するかもしれない動物なのです…。
ドワーフ遺伝子というものがあります。
生物の細胞にこのドワーフ遺伝子を組み込むと、
動物を小型化することができるのです。
成長を止めるというものではなく、その生物の本来の
大きさそのものを小さくしてしまうのです。
アメリカのカリフォルニア大学でこの研究は進められており、
手乗りといかないまでも犬ぐらいの大きさの象が
誕生したといいます。
それらのうち何頭かはお金持ちの好事家たちに売られたらしいので、
それを見た人々からこの噂が流れたのかもしれません。
しかし、象を小型化する目的は、
ただペットにするためではありません。
未来にくるであろう食糧難の時代を見越してのことなのです。
象の食事量は一日約150kg。
アフリカ象は現在約63万頭生息しているとされるので、
毎日約9万4500tもの草木が消費されるわけです。
砂漠化が進むアフリカにおいて、毎日それだけ緑が減っていくのは
非常に深刻な事態です。
また餌場をなくした象は農場を襲うようになり、
それを防ぐ人間と衝突、
年間で何十人もの人々が、象によって命を落としているのです。
このままでは象が害獣となってしまう…
そう危惧した野生動物保護団体が象を小型化し、
食事量を抑えようとするプランを実行したのです。
小型化が進められている動物は象だけではなく、
キリン、サイ、カバなどの大型草食動物のほか、
ライオンなどの肉食動物なども含まれているそうです。
それらの動物は施設の中で保護されており、
小型化する実験と同時に、再び元の大きさに戻すための技術も
開発されているといいます。
地球環境の悪化により、絶滅の危機に瀕している動物は多数存在します。
もしかするとそういった動物たちを小型化し、
小さな生態系を作ろうとしているのかもしれません。
そうなると、それは神の領域に近づく行為だと批判する団体も
あるかもしれませんが、あくまで生物の保護が目的であるなら、
彼らも口を閉ざすしかないでしょう。
もう既に旧約聖書に登場する『ノアの箱舟』にあたる、
生態系保護を目的とした施設が存在するかもしれません。
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